コラム
ユーザーエクスペリエンス(UX)を改めて語る

2024年4月1日より、障害者差別解消法の改正内容が適用され、民間事業者の「合理的配慮」が義務づけられることになり1年が経過しました。
ウェブアクセシビリティの対応が重要視される中、改めてユーザーエクスペリエンス(UX)ついて考えようと思います。
ユーザーエクスペリエンスとは?
ユーザーエクスペリエンス(UX)とは、ユーザーが製品やサービスを利用する際に得られる全体的な感覚や体験を指します。
ウェブサイトにおけるUXとは、ユーザーがサイトを訪れ、得たい情報を取得する過程で感じる使いやすさ、満足感、ストレスの少なさなどを最適化することを目指します。UXが優れたウェブサイトは、直感的に操作でき、必要な情報や機能に素早くアクセスできることが特徴です。
優れたUXを提供するサイトは、ユーザーの再訪問を促し、コンバージョン率を高め、ブランドロイヤリティを築くのに貢献します。逆に、UXが悪いとユーザーはすぐに離脱し、他の競合サイトを選ぶ可能性が高くなります。そのため、UXの最適化は、設計フェーズ、デザインフェーズ、構築フェーズの全てにおいて意識する必要があります。
ユーザビリティテストの活用
では、UXを最適化するための施策としてユーザビリティテストがあります。
これは、実際のユーザーにウェブサイトを使ってもらい、その操作や反応を観察・分析することで、サイトの使い勝手に関する問題点を洗い出すプロセスです。
ユーザビリティテストには、以下のような方法があります。
- インタビューと観察
ユーザーに実際にサイトを操作してもらい、行動やコメントを観察・記録します。これにより、ユーザーがどの部分で使いにくさを感じているのか、どの機能が分かりにくいのかを具体的に把握できます。また、オンラインツールを利用して、遠隔地にいるユーザーにテストを実施すれば、地理的な制約を受けずに多様なユーザーからフィードバックを得ることができます。 - A/Bテスト
異なるデザインや機能を持つ2つ(またはそれ以上)の異なるバージョンをユーザーに試してもらい、どちらがより効果的かを比較します。
ユーザビリティテストで得られたデータを基に、具体的な改善策を講じます。
例えば、ナビゲーションが分かりにくい場合はメニュー構造を見直したり、重要な情報が埋もれている場合はレイアウトを変更して目立たせるなどの対策が効果的です。可能であれば、定期的にユーザビリティテストを実施し、継続的に改善を図ることで、常に最適なUXを提供し続けることができます。
ユーザビリティテストは、継続的に実施することが理想です。ウェブサイトの更新や新機能の追加に伴い、定期的にテストを行い、それに対する施策を実施することで常に最適なUXを維持することができます。
ユーザー視点に立ったアプローチは、強力なウェブサイトを構築する重要な施策と言えます。
アクセシビリティの充実はUXを充実させる必要条件
UXの最適化において、アクセシビリティは非常に重要な要素です。
ウェブアクセシビリティとは、障害を持つユーザーや高齢者など、あらゆる人がウェブサイトを利用できるようにすることを指します。
アクセシビリティの基本概念
アクセシビリティを高めるための最も重要なガイドラインは、WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)と呼ばれるものです。
これは、ウェブサイトを誰でも使いやすくするためのルールを提供しています。以下の4つのポイントに基づいています。
- 知覚可能性(Perceivable)
情報やレイアウトは、誰でも見たり聞いたりできるようにします。
例えば、画像には説明を書き添えたり(代替テキスト)、動画には字幕をつけたりします。これにより、視覚や聴覚に障害がある人でも内容を理解できます。 - 操作可能性(Operable)
画面の中のボタンやリンクなどは、誰でも操作できるようにします。
例えば、キーボードだけで操作できるようにしたり、タブキーで順番に移動できるようにすることです。これにより、マウスが使えない人でもサイトを使いやすくなります。 - 理解可能性(Understandable)
情報や操作方法は、誰でも理解できるようにします。
例えば、簡単でわかりやすい言葉を使ったり、常に同じ場所にメニューを置くなどです。これにより、初めて訪れた人でも迷わずに目的の情報にたどり着けます。 - 堅牢性(Robust)
情報は、今後の技術の進化にも対応できるようにします。
例えば、正しいコーディングをしておくと、新しいブラウザや支援技術でもサイトが正常に表示されます。これにより、最新技術を使う人でも問題なく情報を利用できます。
アクセシビリティはウェブサイトを誰にとっても使いやすくするための基本的な考え方です。
上記の4つのポイントは、ウェブサイトを制作する為の工程、「設計フェーズ」「デザインフェーズ」「構築フェーズ」の全てのフェーズで意識し、必要に応じて対応することが必要です。
これを守ることで、より多くの人にとって利用しやすいサイトを作ることができます。
まとめ
今回は改めてUXについて説明をしました。
概念としては理解していても、なかなか実践するのは難しい施策です。今までターゲットだけに支持されるように作成していたサイトが、ターゲットの多様化に伴い、より多くのユーザーに支持されるサイトにする必要があります。
改めてサイトを使うユーザー目線のサイトの構築が、ビジネスの成功への第一歩なのかもしれません。